横井醸造(中編):苦労したみりん風調味料の開発、お酢屋の発想で問題解決
【連載コラム】日本の知恵と技術でハラール対応!
Vol.1 お酢・みりん風調味料編 ~横井醸造工業株式会社~ 中編
ハラール認証取得は“「美味しい寿司」を食べてもらうため”
(笠岡)なぜ、ハラール認証を取得しようと思ったのでしょうか。
(横井)3年ほど前ですかね。海外での寿司屋の状況を知りたいと思い、数十件、寿司屋を食べて周ったんです。実際に食べ驚いたんですが、全然美味しくないんです。ショックでした。
(笠岡)分かります。美味しくない店もありますよね。
(横井)はい。それで、これではいけないと思い、美味しい寿司を海外でも食べてもらうために、寿司の技術だけではなく、“横井の酢”も同時に輸出するようになりました。
その次、今度はインバウンドの波が日本にきて、たくさんの方が海外から日本に来るようになりました。当然ムスリムの方もいらっしゃいます。しかし日本ではムスリムの方が美味しい寿司を食べたくても、寿司に欠かせない“お酢”がハラールではなかった。
海外から輸入したハラール認証の酢はありましたが、それでは美味しい寿司になりません。“横井の酢”のように「寿司のためのお酢」が必要だったんですね。周りからも、「横井さん、何とかしてくれないか」と頼まれていました。そこで、日本にいるムスリムの方に美味しく寿司を食べてもらうためにハラール認証の酢を作ったんです。
(笠岡)寿司というと、TVなどではネタばかり注目されがちですが、お酢がそんなに重要なんですね。
(横井)はい、海外でも繁盛しているお寿司屋さんほど、お酢にこだわります。
苦労したみりん風調味料の開発、お酢屋の発想で問題解決
(笠岡)今回、ハラール認証を取得したのは、「純米酢」「りんご酢」「合わせ酢」「みりん風調味料“煮切り”」の4商品ですね。ハラール認証を得るのに苦労した点はありますか?
(横井)実はお酢については何も変えていません。弊社には200種類くらい商品があるので、中身を全く変えずに認証を取れるのはどれなのかを調べました。だから、今回ハラール認証を取得したお酢は、これまで販売しているお酢と中身は全く一緒です。
(笠岡)でも普通のお酢の場合、アルコールを使用しますよね?
(横井)そうですね。一般のお酢は原料にアルコールを使用しますので、原材料名の表示には「アルコール」と書かないといけない。でも今回ハラール認証を取得した商品、純米酢と純リンゴ酢は、その名前の通りでして、原材料は、米か、リンゴか、だけです。もちろん、アルコールも無添加です。
(笠岡)ではお酢の製造過程で自然発生する微量のアルコール成分は、どうですか?
(横井)それも最終的にアルコール成分は0.5%未満で、認証基準をクリアしていますから安心してお使い頂けます。
(笠岡)お酢以外の商品でもハラール認証を取得されていますね?
(横井)はい。アルコール濃度が1%以上ある本みりんは当然対象外ですが、アルコールを一切添加しないみりん風調味料でハラール認証を取得しました。
(笠岡)みりん風調味料も、味をまったく変えずに、ですか?
(横井)いえ。もともと、みりん風調味料には酒が含まれています。味がふくよかになるんですね。でも酒が入っているとハラールにならない。そこで酒を抜いてみたんです。そしたら、味が薄っぺらくなってしまいました。
そこで、試行錯誤を重ねて、最後は、とっても濃い純米酢を入れてみたんです。そうしたらコメの風味の厚みが出て、美味しいみりん風調味料を作ることが出来ました。
(笠岡)そこで純米酢を加えるというのが、さすがお酢屋さんの発想ですね!
(後編に続く)
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